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酒さ(しゅさ)

酒さは、頬・鼻・眉間・あごなど顔の中央部に、赤みが持続的に現れる慢性の炎症性疾患です。単なる「赤ら顔」や体質と思われがちですが、放置すると赤みが固定し、毛細血管が目立つようになったり、ぶつぶつ(丘疹・膿疱)を繰り返したりします。

一度で完治する病気ではなく、状態を良好に保ちながら付き合っていく病気です。逆に言えば、適切な治療と誘因の管理によって、日常生活で気にならない状態まで持っていくことは十分に可能です。

酒さのタイプ

以前は進行段階で分けられていましたが、現在は現れている症状ごとに評価し、それぞれに治療を組み立てる考え方が国際的に主流になっています。

  • 持続する赤み ― 顔の中央の赤みが長く続き、周期的に強くなる
  • ほてり(潮紅) ― 温度差や刺激で急に赤くなり、熱感を伴う
  • ぶつぶつ ― にきびに似た丘疹や膿疱を繰り返す。ただし面皰(コメド)はできない
  • 毛細血管拡張 ― 細い血管が糸状に浮き出て見える
  • 鼻瘤 ― 鼻の皮膚が厚くなり凹凸ができる
  • 眼の症状 ― 目の充血、乾燥感、異物感

同じ酒さでも、どの症状が主体かによって有効な治療がまったく異なります。当院で治療方針を細かく分けているのはこのためです。

なぜ赤くなるのか

酒さの赤みは、血管が広がっているだけの状態ではありません。研究により、次の3つの仕組みが重なって起きていることがわかってきました。

1. 皮膚の免疫の過剰反応

皮膚が本来持つ防御の仕組みが過剰に働き、抗菌ペプチド(LL-37)が異常に活性化して炎症を引き起こすことが報告されています(Yamasaki K, et al. Nature Medicine 2007)。

2. 神経を介した血管の反応

熱、紫外線、アルコール、香辛料などの刺激を感じ取る神経の受容体(TRPV1など)を介して血管が拡張し、ほてりが起こります。

3. 血管そのものの変化

炎症が続くことで血管が増え、拡張した状態が固定していきます。

また、皮膚に常在する毛包虫(デモデックス)の密度が酒さの方で高いことが複数の研究で示されており、炎症の一因として関与すると考えられています。

つまり、赤みだけを消そうとしても、背景にある炎症が続いていれば再発します。当院では、免疫・神経・血管という3つの側面のどこが主体かを見きわめて治療を組み立てます。

悪化させる要因

治療と同じくらい、日常の誘因を知ることが重要です。

  • 紫外線
  • 高温、急な寒暖差、長い入浴やサウナ
  • アルコール
  • 香辛料、熱い飲食物
  • 精神的ストレス
  • 刺激の強い洗顔料や化粧品
  • ステロイド外用薬の継続使用

どれが自分の誘因かは人によって異なります。診察では、生活のなかで何が引き金になっているかを一緒に整理していきます。

酒さの治療

1. スキンケアと誘因の管理

低刺激の洗浄、保湿、日焼け止めによるバリア機能の維持が治療の土台になります。これを欠いたまま薬や機器の治療だけを行っても安定しません。症状にあったスキンケアをご提案いたします。

2. 保険診療(外用薬)

2022年5月、メトロニダゾール0.75%ゲル(ロゼックスゲル)が酒さに対する効能・効果の追加承認を取得し、保険で使用できるようになりました。国内の臨床試験では、12週間の使用で炎症性皮疹と紅斑がともにプラセボと比べて有意に高い割合で改善しました。1日2回の外用で、使用期間は原則12週間までとされています。

ぶつぶつ(丘疹・膿疱)に対する効果が中心で、赤みそのものへの効果は限定的である点は、あらかじめご理解いただく必要があります。

3. 赤み・毛細血管拡張に対する治療

外用薬で改善しにくい持続する赤みや毛細血管拡張に対しては、血管に作用するレーザーや超音波による治療が選択肢になります。当院では、症状のタイプに応じて、血管をターゲットとする治療と、皮膚の状態を整える治療を組み合わせてご提案しています。こちらは自費診療となります。

4. 眼の症状

目の充血や異物感を伴う場合は、眼科と連携して治療を進めます。

ステロイド外用薬にご注意ください

ステロイド外用薬は赤みを一時的に軽くしますが、酒さに使い続けると中止時に強く再燃し、酒さ様皮膚炎(ステロイド酒さ)を招くことがあります。市販薬や以前処方された薬を自己判断で顔に塗り続けている方は、一度ご相談ください。中止のしかたにも段階的な工夫が必要です。

治療期間・費用・副作用

赤みに対する機器治療は、カスタマイズ治療の中で行っています。

1回 44,000円〜143,000円(税込)。診察代、麻酔代、内服薬などは別料金となります。

副作用として、疼痛、発赤、湿疹、色素沈着などが起こることがあります。

詳しい価格についてはこちら

当院での診療の流れ

酒さに対する外用薬などの治療は保険診療で行います。診察のうえ、必要な薬剤を処方いたします。

毛細血管拡張や、外用薬では改善しにくい赤みについては、自費診療として血管に作用するレーザーや超音波などをご案内しています。こちらは保険診療とは別にお受けいただく治療です。

いずれの場合も、ご希望と状態をうかがったうえでご提案します。最初から高額な施術をおすすめすることはありません。

よくあるご質問

酒さは治りますか

完全になくなる病気ではありませんが、治療と誘因の管理によって、日常生活で気にならない状態を保つことは十分に可能です。良い状態を維持することが目標になります。

酒さと脂漏性皮膚炎はどう違いますか

脂漏性皮膚炎は鼻のわきや眉間、生え際に赤みとかさつきが出るのが特徴で、フケのような細かい皮むけを伴います。酒さは頬や鼻の中央部の赤みとほてりが中心です。ただし両方が同時に存在することも珍しくないため、診察で見きわめる必要があります。

酒さと大人のにきびの見分け方は

にきびでは毛穴のつまり(面皰・コメド)ができますが、酒さではできません。また酒さでは、ぶつぶつの周囲に持続する赤みやほてりを伴うことが多くみられます。

保険で治療できますか

酒さと診断された場合、外用薬による治療は保険診療で行えます。保険適用のない赤みへのレーザー治療、超音波治療などは自費診療となります。

塗り薬はどのくらいで効きますか

効果の判定には数週間かかります。国内の臨床試験は12週間で評価されており、途中で自己判断で中止せず、経過を見ながら続けることが大切です。

化粧をしても大丈夫ですか

問題ありません。むしろ紫外線対策になる面もあります。刺激の強い製品や、こすり落とす必要のあるものは避け、落としやすいものを選んでください。当院で刺激の少ない化粧品のご案内も可能です。お気軽にご相談ください。

お酒を飲むと必ず悪化しますか

全員に当てはまるわけではありません。ご自身の誘因かどうかを確認したうえで、量や種類を調整していきます。

顔の赤みには酒さ以外にもさまざまな原因があります。

赤み・赤ら顔の治療のページで、鑑別が必要な病気を解説しています。

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