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最新!韓国美容事情~韓国のドクターもつらいのね~

[2024.03.01]

昨年、韓国ソウルにて行われた勉強会に出席しました。最新の肝斑の治療方法やにきび痕治療、基礎研究など、多岐にわたった報告や最新の知見などを学ばせていただきました。

韓国は、言わずと知れた「美容大国」ですが、なぜなのかでしょう?今の最新医療事情についても驚きと、発見がありました。

日本の医療の未来予想図になるかもしれないです・・

 

まず、第一に韓国は幼少期から「外見第一主義」の意識を植え付けられる環境にあるそうです。

現在、表立って言うことは少ないようですが、就職面接においても、どんな場面でも選別に「外見」の項目があることは当然。

両親は二重瞼だが、韓国の多くの子供たちが一重瞼です。小中高と勉学に励み、大学合格祝いとして「二重瞼」の手術を両親からプレゼントされます。そして、大学デビューを果たし、就職し、結婚。そして一重瞼の子供が生まれます。

 

そのくらい韓国では美容医療が身近にあります。どんな田舎でも、どの診療科でも、美容医療を傍らでやっているクリニックがほとんどだからです。

それはなぜか?診療報酬が少なすぎて、保険診療だけでは経営が成り立たないからです。通常の保険医療で開業した先生も、やむなく自費診療を取り入れることがほとんどだそうです。

 

韓国では現在、美容第二世代と言われる医師が美容医療を引っ張っています。以前、第一世代の医師はアメリカなどからデバイス(美容医療機器)を購入し、知識を外国から得て治療していましたが、デバイスを研究し韓国産が増えたことで、韓国独自の美容医療が進みました。そのころ若手だった医師たちが、今、アジアや世界の第一線に韓国のオリジナリティのある美容医療を教示しています。

 

日本からの渡韓患者の層も変化しています。昔は日本では美容外科手術が大変高価だったため、韓国で安く治療してくれるクリニックを探して治療しに行く患者が多かったようです。しかし、現在は美容外科手術よりも、美容皮膚科の施術を求めて、旅行がてら気軽に渡韓する患者が多いのです。SNSの普及によるものですね。TikTokやinstagramで、渡韓し美容施術を受けた記録を投稿したものが、爆発的に人気となっているからです。それをみた患者が同じ治療を求めて韓国にいく。韓国では、そこまで人気のなかった施術が日本のSNSでバズり、逆輸入的に韓国で盛んにおこなわれるようになった例も多いようです。

あるクリニックでは、休診日だった日曜日を日本人患者のみの枠として診療し10倍の売り上げをあげたこともあるということでした。

 

そんな韓国では、今、美容医療の二極化が進んでいます。ファストフードなみの安さで行われる治療と、高級志向でエビデンスをしっかりとって行われる治療です。

極端に安価なクリニックでは、ビルの一角の狭いスペースに患者を何人も横たわらせて、どんどん施術するベルトコンベアーのように治療を行っているし、一方、きちんと基礎医学から研究し、エビデンスをとった治療を丁寧にやっているクリニックもあります。

日本でも大手の美容クリニックが、安さを売りにしてきていますが、韓国ではさらに極端になっているようです。

日本のように院長が医師でなく、企業などがクリニックを経営し、プロモーションを大々的に行うというマーケティングもそれを加速させています。

 

私は美容医療も医療の一分野であり、きちんとエビデンスに基づいた診療をすべきだと考えています。同じ志の韓国医師と話していて、「日本がうらやましい」と言われました。

なぜか?と聞くと、

 

「日本では、保険診療もちゃんと守られている。皆が美容の自費治療をしなくては経営がなりたたないのは、患者にとっても、医師にとってもよくない。美容も医師より業者の力が強くなりがちで、それだときちんとした美容医療を行いづらい。それも医院のトップが医師でないクリニックが多いからだ。」

 

ちょっと、日本を誇らしくなりました。

保険診療でも、美容診療でも医師が責任をもって、エビデンスに沿った医療をすることが、日本ではまだ担保されているからです。

 

しかし、今の日本の状況も決して盤石というわけではありません。超高齢社会、医療費の増大は今後の日本の医療の仕組みを変えていかざるを得なくなるだろうと考えています。

自費治療を、知識もなく取り入れざるを得ないクリニックが増えたり、命に係わる保険治療が立ち行かないようなことは、避けなければならないと思います。

 

今回、新しい美容医療の知見だけでなく、お隣の国の医療事情を知ることができ、予想外に現在の日本の医療システムについても考える機会となりました。課題は様々ありますが、日本らしさ、良さを保ちながら、よりよい医療を提供できるよう、今後とも研鑽したいと思いました。

 

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